lo-fi Hip Hopチャンネルの自律した空間
lo-fi Hip Hopにはサビもなく、曲の起承転結もない。心拍数が上がったり、熱狂もしない。インストが多く、みんなで一緒に歌うこともない。ただ聴いていて気持ちがいい。こういった性質が「ドーパミン系」ではなく「セロトニン系」だと思うわけです。
「バックグラウンド・ミュージックは決して新しい発明ではないが、以前はこの種の体験はほとんどエレベーターと待合室にしか存在しなかった。それが今ではこうした無為な音楽の消費行為で溢れるようになっている。」
lo-fi Hiphopの持つ特徴は、作業の集中を乱すこともなく、「好きなタイミングで聴き始めて、終わる」というリスニングスタイルととても相性がいい。だからチャンネルのビジュアルモチーフとして「勉強中の若者」だったり「深夜でドミトリーでなんとなくPCを見ている若者」だったりする。しかし、「(それこそエクセル作業のような)仕事の生産性を上げる手段」として音楽が用いられること、そして「仕事が終われば、(曲がどの段階であるかによらず)再生を止められる」ような「生殺与奪の権を他人に握らせた音楽ってどうなのよ?」というのが「自律性」をテーマにしたライターの主張です。